ひょうたん について
ひょうたん の無臭種抜き法についての検討(2003.11.03公開)
今年の春に庭の片隅に2本の千成ひょうたん を植えた。9月末に収穫したのだが、思ったよりも多くの収穫を得た。ひょうたん は、収穫後、その内部の果肉を取り除かなければならない。そこで、
参考文献1
をお手本にして、収穫物を水漬けにした。
1週間ほど、バケツで水漬けしたところ、
参考文献1
に書かれていたとおり、果肉が腐り、その悪臭は強烈なものであった。これは嫌気性菌による酪酸発酵によるものと思われる。水道水を流しながら、腐敗した果肉の洗浄と種出しを行ったが、これは、悪臭と戦いながらの
苦痛と忍耐
の作業であった。また、手についた臭いは、何度も何度も石鹸で洗っても落ちないしつこいものであった。
これではいけないと思い、いくつか余っていた収穫物の千成ひょうたん を使い、ミミズコンポストを応用して、この作業を無臭化する方法について検討した。その結果についてここに報告する。ミミズコンポストについては、
参考文献2
を読んで頂きたい。
材料
釣り餌用のミミズ
1箱
釣り道具屋で300円程度
素焼き植木鉢
1つ
上部の直径18cm
おが屑
適量
ハムスターなどの飼育用に使われるもの
千成ひょうたん
6個
長さ8cm前後
方法
それぞれの千成ひょうたん の口の部分にドリルで5mmの孔を開けた。
植木鉢に底石を置き、鉢の底に、買ってきた釣り餌用のミミズを入れた。この時、緩衝材として一緒に詰められていた泥(青みかかった灰白色で粘土鉱物?)も一緒に入れた。
孔を開けた ひょうたん の口を下にして、鉢に並べた。
ひょうたん を覆うようにおが屑を入れた。
この状態で、直射日光が当たらない暖かい場所に置き、約3週間、この状態で保管した。この間、内部が乾燥しない程度に、水分管理を行った。
結果
約3週間後に、植木鉢から ひょうたん を取り出し、外見及び内部の状態を観察した。
植木鉢を上から見たところ。
取り出した ひょうたん 。表面の薄皮は程よく軟化しており、おが屑で擦ると、きれいに取り除くことができた。
取り出した ひょうたん を縦に2つに切断した。内部の果肉部分はミミズに全部食べられ、完全に無くなっており、種のみが残っていた。臭いについては、ミミズ独特の生臭い臭気があったが、水漬けした時の強烈な悪臭に比べると、遥かに穏やかなものであった。
上記の縦半分に切断した ひょうたん を水洗いしたもの。水洗いでミミズ独特の生臭い臭気はなくなった。内側の表面には、特に異常はなく、きれいであった。
考察と今後の課題
多少、ミミズ独特の生臭い臭気はあるものの ひょうたん の無臭種抜きという、初期の目的は、達成することができた。
しかし、今回が初めての取り組みで、しかも実験の規模も小さいので、更なる技術の完成には、今後、以下のような課題について検討する必要がある。
今回、実験対象としたのは、小型の千成ひょうたん という品種だけである。この方法が中型、大型品種の ひょうたん にも同様に適用できるのか。
今回の実験は、植木鉢1つという小規模なものだった。しかし、実際の収穫期には、大量の ひょうたん を一度に処理しなければならない。この手法で規模を大きくするには、大量のミミズが必要となる。これには、春頃より、大きなミミズコンポストの設備を準備し、ひょうたん の収穫期までに、大量のミミズを培養しておく必要があるのではないだろうか。
参考文献
[増補改訂版]これからはひょうたんがおもしろい
著者 中村賀昭
発行 株式会社ハート出版
URL http://www.810.co.jp/
ISBN4-89295-477-2
C2076 ¥1600E
農家が教えるキュウリ・ウリ類つくり―ゴーヤ・ヘチマ・ユウガオ・ヒョウタン
編集 農文協
編集 農山漁村文化協会
ISBN-10: 4540142593
だれでもできるミミズで生ごみリサイクル
ミミズに学ぶ環境学習
著者 メアリー・アッペルホフ
監訳 財団法人 科学教育研究会
訳者 佐原みどり
発行者 財団法人 科学教育研究会
発行所 合同出版株式会社
ISBN4-7726-0258-5
みんなでためすミミズコンポスト・マニュアル―学校・地域で学ぶリサイクル
著者 ビネー ペイン
原著 Benet Payne
訳者 佐原みどり
ISBN-10: 4772602836
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